7月11日、セブンイレブンの日に公式が投稿したXのポストにて、台湾をわざわざ「中国(台湾)」と表記したことで、多くの人から批判の声が上がっています。
該当の投稿は炎上を受けて削除されましたが、台湾が大好きな日本人のひとりとして、私なりの意見を記しておきたいと思います。
私の意見すべてに賛同していただかなくても構いません。
ただ、「日本人ファースト」といった言葉が話題になる今だからこそ、国際感覚を持つことの大切さを改めて感じます。この問題を通して、少しでも“自分ごと”として捉えていただけたら嬉しいです。
セブンが炎上した「中国(台湾)」の投稿表記
問題となったのは、7月11日に投稿されたこちらのXポストです。
翌日、7月12日にセブン&アイ・ホールディングスの公式アカウントは該当の投稿を削除し、次のような謝罪文を投稿しました。
しかし、これに対してX上では、
- 「“配慮に欠ける投稿だった”という表現だけでは不十分」
- 「台湾=中国という認識そのものを否定しておらず、謝罪になっていない」
といった批判の声が多く上がりました。
さらに、「台湾まぜそば」や「台湾カステラ」など、商品の販売時には“台湾”という名称を前面に出しているのに、こうした国際問題において“台湾=中国”とするのは矛盾しているのでは?という指摘も多く見られます。
要するに、“お金儲けのときだけ台湾を利用している”という印象を受けた人が多かったのです。
加えて、「ハワイ」は「アメリカ(ハワイ)」ではなく「ハワイ」と単独表記されているのに、なぜ台湾だけ「中国(台湾)」と表記したのか。
一貫性に欠ける姿勢も疑問視されています。
台湾は中国なの?台湾は国じゃないの?香港は?
セブン&アイ・ホールディングスのような大企業が「中国(台湾)」という表記を公式に発信する以上、「知らなかった」では通用しません。
しかし実際には、中国・台湾・香港の違いについて、正しく理解していない人も多いのではないでしょうか。
正直、私自身も世界一周の旅をするまでは、中華圏の歴史や政治的な背景について深く考えたことはありませんでした。台湾と香港の違いを説明できなかった一人です。
実際、現在お付き合いしている台湾出身のパートナーの話をしていても、友人から「台湾って中国?」「香港とは違うの?」と混同されることが多くあり、特に台湾・香港の区別がついていない人は多いと感じています。こうした誤解は決して珍しくありません。
ここでは簡単に、中国・台湾・香港の違いを整理してみます。
中国(中華人民共和国)
- 一党独裁体制の国家(共産党による統治)
- 北京を首都とし、国際的には「中国」として広く認知されている
- 台湾に対して「自国の一部」と主張している
台湾(中華民国)
- 独自の政府・憲法・軍隊を持つ、事実上の独立国家
- 日常生活の中で完全に中国とは異なる政治体制・文化を持つ
- しかし、中国の圧力により国連加盟は認められておらず、台湾を国家と承認している国はわずか12カ国(日本は含まれていない)
- 台湾を承認すると中国からの圧力がかかるため、多くの国が「国」としての承認することを控えている
ちなみに、台湾人のパートナーJulianと一緒に旧ユーゴスラビア圏を旅していた際も、中国への配慮から台湾へのビザ免除を停止している国には入国できなかったということもありました。
香港
- かつてはイギリスの植民地(1997年に中国へ返還)
- 現在は「中国の特別行政区」として扱われており、政治・法律面で中国とは一部異なる仕組みがあった
- しかし、近年は中国政府による統制が強まり、「一国二制度」が形骸化しつつある
また、中国政府は台湾に対して「必要なら武力行使も放棄しない」との姿勢を崩しておらず、これがいわゆる「台湾有事」として、国際社会でも緊張を高める要因となっています。
台湾の方々は、自分たちを「中国人」と見なされることにとても敏感です。それは、自分たちのアイデンティティや暮らしの在り方が否定されることと直結しているからです。
私がこの投稿を「ありえない」と思った理由
私は日本人ですが、このセブン&アイ・ホールディングスの投稿を見たとき、率直に「ありえない」と感じました。
中国と台湾の関係がこれほどまでに深刻化している中で、日中・日台の両方に展開している大企業が、堂々と「台湾は中国である」と表現したことは、単なるミスでは済まされない重大な意思表示だと受け取られても仕方がありません。
台湾と日本の深いつながり
台湾は、親日国として知られています。日本文化に親しみを持ち、日本人観光客にもとても温かく接してくれる方々が多い国です。
私自身も、台湾を訪れてその温かさに触れ、心から「台湾が好き」と思うようになりました。
そして、2011年日本が東日本大震災に見舞われた際、台湾からの義援金は200億円を超え、世界最大規模となりました。
しかもその多くは、政府ではなく慈善団体や機関団体、個人から集まったものだと知り、深く感動したのを覚えています。
先日、日本一周をした際、東北地方では「台湾の義援金で再建された施設」や「ありがとう、台湾」と記されたポスターや看板が残っているのを何度も目にしました。
台湾人にとってのセブンイレブン
台湾に行ったことがある方ならご存じでしょう。台湾の街中にはセブンイレブンが多く、「ここは日本か?」と思ってしまうほどセブンイレブンだらけです。
しかも台湾のセブンイレブンには「OPENちゃん」というオリジナルキャラクターがいたり、独自のユニフォーム(話題のグレーカラー)を着ていたりと、現地に根ざしたローカル企業のような親しみやすさがあります。

つまり、台湾の人々にとってセブンイレブンは単なるコンビニではなく、生活に欠かせない存在=生活インフラなのです。
そんなセブンイレブンが、わざわざ「台湾=中国」と表記したことに対して、台湾の人々が悲しみや怒りを覚えるのは当然です。
しかし、日本の声に希望も感じた
一方で、この投稿に対して「おかしい」と声を上げた日本人が多くいたことは、正直とても嬉しかったです。
こうして、台湾との関係を大切に思う人たちが日本にもたくさんいるという事実に、救われた気持ちにもなりました。
セブン&アイ・ホールディングスは該当の投稿を削除し、あたかも「なかったこと」にしようとしているように見えます。
日本企業としての信頼を守り、台湾の方々との関係を本当に大切に思うのであれば、しっかりと訂正・謝罪し、責任ある対応をとってほしいと願っています。
おわりに:日本と台湾の友好関係が続くことを祈って

私は一人の旅人として、台湾という場所を心から大好きになりました。
日本を好きでいてくれる方が多く、食べ物は美味しく、自然は豊かで、そして何より人があたたかい…
そんな台湾が、私は本当に大好きです。
だからこそ、今回のセブン&アイ・ホールディングスの「中国(台湾)」表記の問題を、見過ごすことはできませんでした。
この投稿が意図的なものだったのか、それとも単なる無知によるものだったのかは分かりません。
ただ、仮に無知によるものだったとしても、それを投稿前に誰も指摘しなかったとすれば、セブン&アイ・ホールディングスの業務体制や意識そのものに疑問が残ります。
いずれにしても、これは単なる“企業の一表記ミス”では済まされない、人権・文化・歴史の尊重に深く関わる問題だと私は感じています。
このブログ記事は、日本と台湾が今後も対等なパートナー・良き友人としてあり続けてほしいという、切実な想いで執筆しました。
当ブログは台湾の読者の方にも多くご覧いただいていますが、台湾の皆さんに伝えたいのは
今回の投稿はあくまでセブン&アイ・ホールディングスの企業判断であり、日本人全体の考えではありません。
今までも、そしてこれからも、日本と台湾が互いを思いやり、支え合える関係であり続けられるよう、私は心から願い、発信を続けていきたいと思います。
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