ちょうど1年前。
2024年8月18日、私は世界一周の旅に出ました。
終戦記念日を機に、旅人視点からの「平和」、そしてこの旅を通して学んだ「平和の作り方」についてシェアしたいと思います。
戦後80年。戦争の歴史を知ることは平和への第一歩

8月15日、終戦記念日。
今日、2025年8月15日で、日本は戦後80年を迎えました。
毎年この時期になると、ニュースやドキュメンタリー番組、戦争映画を目にする機会が増えます。
見終えた後は、気持ちが重くなり、言葉が出なくなる。
あの感覚は、正直しんどいですよね。
私もこれまでに、広島の原爆ドーム、長崎の平和公園、鹿児島の特攻隊記念館を訪れました。
どこへ行っても、帰り道は黙り込んでしまい、悲しい気持ちになります。
でも、この気持ちの重さから目をそらしてはいけないと思います。
つらいからと避けてはならない。
なぜなら、知ることは戦争の抑止力になるからです。
そして気持ちの重さは「平和を守り続けるために背負う責任の重さ」でもあるのだと、私は感じています。
だからこそ、戦争の歴史を知ることは、平和を守るための第一歩です。
その一歩を踏み出すかどうかは、私たち一人ひとりにかかっています。
戦争は昔の話ではなくなってしまった。

子どもの頃、私は「戦争なんて昔の話」だと思っていました。
それは、平和な国に生まれたからこそ持てた、ある意味では幸せな勘違いだったのかもしれません。
けれど今、世界のあちこちで戦争や紛争が起き、日本も他人事ではなくなってきています。
パレスチナとイスラエルの戦争では、ガザ地区で多くの命が奪われ続けています。
ロシアとウクライナの戦争も、2022年に始まってから3年が経ち、終わりが見えません。
カンボジアとタイの国境紛争、インドとパキスタンの軍事衝突…。
どれも、遠い国の話のように聞こえて、実は私たちの未来にもつながっている出来事です。
戦争は、遠い場所だけで起こっているわけではありません。
物価の上昇やエネルギー価格の高騰、円安の加速…。
その背景の一つには、世界で起きている戦争や国際情勢の不安定さがあります。
もし今、海外からの資源が止まれば、電気もガスも当たり前に使えなくなるかもしれません。
スーパーに並ぶ食材の多くが輸入できなくなり、日常の食卓さえ変わってしまうでしょう。
遠い国の争いが、私たちの財布や暮らし、そして心の安心をじわじわと奪っていく。
それが、今の現実です。
日本人はどれだけのことを知っているのか

世界一周の旅の途中、私は毎日アメリカのCNNニュースを見られる環境にいました。
そこで流れてくるのは、ガザ地区で起きている生々しい悲劇。
瓦礫の中で泣き叫ぶ子どもや、必死に担架を運ぶ人々の姿、現地の映像や声、専門家の声が何十分もかけて報道されていました。
その映像を見て、私は衝撃を受けました。
同じ出来事が、日本のニュースでは数分、時には数十秒しか流れないのです。
「日本の情報は、こんなにも限られているのか」と初めて気付いた瞬間でした。
そんな中、早稲田大学教授の岡真理さんにお話を伺う機会に恵まれました。
そこで私は日本のメディアを通じてイスラエル側に偏った視点で現状を受け取っていたことに気づかされたのです。
もちろん、私は陰謀論者ではありません。むしろ、情報源が曖昧な話は苦手です。
報道の内容や時間には、視聴率や国際関係など見えない事情が影響しているのだろうと感じます。
さらに調べていく中で、私たちが普段使っている製品やサービスを提供している企業の中に、イスラエルを支援しているところがあると知りました。
海外では、それらの企業に対する不買運動も起きています。
しかし、日本ではその事実を知っている人は多くありません。
(記事の最後に、日本語で案内されている参考サイトのURLを掲載します)
それ以来、私はそうした企業の商品を買わなくなりました。
いえ、「買えなくなった」というほうが正しいでしょう。
自分が払ったお金が、武器や爆弾となって誰かの命を奪うことにつながる…そんな未来を選びたくないからです。
参院選で見えた日本の現状

今回の参院選では、「日本人ファースト」という言葉が注目され、「外国人排除」を公然と口にする人を多く見かけました。
SNSで偏った情報だけを頼りに投票する人も増え、その結果、国民主権の制限や核保有を進めたい政党に多くの票が集まりました。
多数がその選択をした。
そんな日本の姿に、私は強い恐怖を覚えました。
その空気が、日常の中にも染み込み始めている。
そう感じた出来事が、駅のホームでありました。
駅のホームで見た光景
近鉄特急から、白人男性と日本人男性が降りてきました。
すると突然、日本人男性が大声を上げ、白人男性の胸ぐらをつかみました。
「おい、おまえ特急券持ってないのに乗ったんちゃうか!おい!特急券見せろや!」
白人男性はICカードで乗ったと英語で説明しようとします。
しかし、日本人男性は英語を理解せず、さらに声を荒げました。
「おい、ここは日本や、日本語で喋れ。おまえどこの国やねん!」
白人男性は困惑しながら財布からICカードを取り出して見せましたが、日本人男性は駅員が止めに入っても「おまえ、どこの国の人間やねん!」と同じ言葉を繰り返していました。
私はその場で、胸の奥が冷たくなるのを感じました。
もし本当に近鉄特急で無賃乗車をしていたのなら、必要なのは「切符を見せろ」という指摘だけのはずです。
そこに「おまえどこの国やねん」という問いは、本来必要ない。
男性の発言から、この男性の中に「日本人ファースト」「外国人排除」という考えが根付いてしまっていることがわかります。
これを公共の場で叫んでも問題ないと思える社会の空気が恐ろしい。
「日本人ファースト」「外国人排除」に賛同する日本人が多い世界。
こんな世界はあまりにも悲しい。
近鉄線では特急料金が必要で、京阪線では必要ない。
もし私が外国人だったら、この複雑なルールを理解できたか自信がありません。
お金を払って乗車しているのに、見知らぬ人に胸ぐらをつかまれ、分からない言葉で出身国を問い詰められたら…
想像するだけで、恐怖で足がすくみます。
あなたは、この光景をどう感じますか?
今一度考えてみよう。戦争で失うもの

もし戦争が始まったら、私たちは何を失うのでしょうか。
大切な家族の命。
親、兄弟や姉妹が爆撃に巻き込まれるかもしれません。
考えるだけで、胸が締めつけられるように恐ろしく、悲しい。
しかし、たった80年前には、こうした現実が日常の一部でした。
私の祖母の兄も2人戦争で亡くなっています。
学校に行く。
会社に行く。
友達と遊ぶ。
家でゆっくりテレビやスマホを眺める。
休日にはライブやコンサート、スポーツ観戦を楽しむ。
そんな当たり前の日常は、一瞬で消えてしまいます。
私が大好きな旅も、もうできません。
旅は、平和があって初めてできるものだからです。
自分一人が海外へ逃げることができても、日本に残った家族や友人が心配で涙が止まらないことでしょう。
国際恋愛や国際結婚をしている人、海外に家族がいる人はどうでしょうか。
私には台湾に大切な人がいます。
戦争が起きれば、もう簡単には会えません。
食料だって、みんなで取り合い。
お腹が空いても、お金を持っていても、食べるものは手に入りません。
精神的なストレスや病気を抱える人も増えるでしょう。
治安も悪化し、安心して生活できる場所はなくなります。
少し考えただけでも、失うものの多さに愕然とします。
「失ってからでは遅い」
この言葉こそ、戦争の現実そのものです。
How to make peace=平和の作り方

世界一周の旅を通して、私は多くの人と出会い、数え切れないほどの優しさを受け取りました。
そして、気付いたのです。
こんな風に優しくしてくれた国や人を、私は自然と大好きになっていたことに。
もし日本がその国と戦争をすることになれば、私は全力で反対します。
優しくしてくれた友人や国に、爆弾を投げることはできないからです。
みなさんも、大切な人や関わりのある国を傷つけることは、できないはずです。
こんなシンプルなことで平和は作れるのです。
だから、私はこの生涯をかけて、世界中に友達をたくさん作りたい。
日本旅行にきた外国人観光客に「外国人排除」なんてもってのほかです。
日本を好きになって帰ってもらえたら、それだけで日本は平和に一歩近づくのです。
小さな行動でも、こんなふうにお互いに気持ちのよい世界をつくっていけるのです。
そうやって、お互いに気持ちのよい世界を作っていきたくありませんか?
Love&Peace、愛と平和なんて笑われてしまうかもしれません。
でも私は心から、そんな世界を願い続けます。
最後に:あなたができること

発信者として迎えた、初めての終戦記念日。
旅人の私に、なにかできることはないかと考えた結果が、この記事の作成でした。
重たい話なのに、ここまで読んでくださった方々に感謝します。
日本国民の10~60代の2割以上は広島・長崎の原爆投下日、そして終戦記念日を知りません。
「知らない」ということが、平和を危うくする原因になります。
逆に、知ること・考えることが、平和につながります。
ほんの数分だけでも考えてみてください。
「もし戦争が起きたら、自分は何を失うのか」を。
核兵器の犠牲になるのは、落とされた国だけではありません。
核開発のために、知らず知らず人体実験の対象となる地域の人々。
核兵器を落とす側の一生消えない心の傷。
国内でも犠牲者がたくさん出ます。
もう私たちはそれを経験し、過去から学んだはずです。
平和は当たり前ではありません。
私たちが守り続けなければならないものです。
SNSを見ると、陰謀論者や特定政党信者、過激な発言が目立ち、日本に絶望しかけることもあります。
でも私は知っています。
日本一周の旅で私はSNSからは見えなかった、日本人の優しさを知ることができました。
幸いなことに、核兵器に反対し平和を願う日本人もまだまだたくさんいます。
ここまで読んでくれたあなたも、その一人です。
まずは自分にできることから始めてみませんか?
SNSではなく、ニュースや本で戦争の歴史を知ること。
身近な人と平和について話してみること。
小さな行動でも、世界は少しずつ変わります。
一人ひとりの意識と行動が、戦争のない、核兵器のない日本を守る力になる。
あなたも、今日からその一歩を踏み出せます。
これからも戦争のない、核保有のない日本であり続けることができるように考え、向きあっていきましょう。
参考:Olive Journal 市民が作るパレスチナ情報サイト、日本赤十字社
